札幌市に住んでいて精神障害者保健福祉手帳を持っているけれど、「なにかメリットはあるの?」「割引や免除されるサービスはあるの?」と悩まれている方はいませんか。
精神障害者保健福祉手帳を持っていれば、交通費助成制度が受けられるので、通院や施設への通所にかかる経済的な負担が減りますよ。
3級の手帳を持っている筆者自身も交通費助成制度には助かっているので、ぜひ活用しましょう。
精神障害者保健福祉手帳とは
精神疾患を持っていると交付される障害者手帳が、精神障害者保健福祉手帳です。障害の程度によって1級~3級に区分され、1級は最も程度が重い場合です。
精神障害者保健福祉手帳は、精神科に通院してすぐ手に入るものではなく、精神科に通院し始めてから6か月以上経った場合に申請できるようになります。
精神障害者保健福祉手帳を申請するには、精神科の主治医に診断書を書いてもらう必要がありますので、まずは主治医に相談しましょう。
診断書には料金が発生し、だいたい2,000円~10,000円ほどかかります。
精神障害者保健福祉手帳の対象者
自分が精神障害者保健福祉手帳を申請できるかどうかを確かめるには、精神科の主治医に相談してみるのが一番確実ですが、以下の症状で長く通院されている場合は、申請対象者になります。
- 統合失調症
- うつ病、そううつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
- その他の精神疾患(ストレス関連障害等)
参考:こころの情報サイト https://kokoro.ncnp.go.jp/support_certificate.php
筆者は妄想性障害で通院し続け、精神障害者保健福祉手帳3級を持っています。
精神障害者保健福祉手帳の申し込み方法
主治医から診断書を受け取ったら、お住まいの区の【区役所保健福祉課】の窓口で手帳の申し込み手続きを行ってください。診断書は必ず持参しましょう。
- 精神障害者保健福祉手帳の申請書
※申請書は、福祉課の窓口にも御用意しております。 - 手帳申請用の診断書
又は、精神障がいに基づく年金を現に受給していることの証明書並びに印鑑 - 写真(縦4cm、横3cmで無帽、正面、無背景のもので1年以内に撮影したもの)
- マイナンバーが確認できる書類
- 身元確認のできる書類(運転免許証など)
参考:札幌市公式HP https://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/guide/kokoro.html
申し込んだ書類は「札幌こころのセンター」に送られ、審査が通れば手帳を受け取ることができます。およそ1か月~2か月で手帳が交付されます。
手帳を交付してもらうことで、自分は精神疾患を持っているという証明にもなりますので、必要だと思う方は申請した方が良いです。
手帳には2年間の有効期限があるので、切れてしまう3か月前から更新の手続きをしてください。
札幌市の交通費助成制度
精神障害者保健福祉手帳を持つメリットは、交通費助成制度が受けられることです。
交通費助成制度の趣旨は、障害のある方の「外出するきっかけづくり」、「社会参加の促進」です。
この制度は、公共交通機関を利用する際の交通費や、タクシー代、自動車に使う燃料費が助成されます。助成の恩恵を受けることで出費の負担が減り、外出する意欲も増すでしょう。
精神障害者保健福祉手帳1級~3級までそれぞれ助成の対象になるので、ぜひ参考にしてください。
【3級】記名サピカへのチャージ
精神障害者保健福祉手帳3級の場合は、記名サピカに年間52,000円までチャージしてもらえます。
記名サピカとは、自分の名前が印字されたサピカカードのことで、券売機で購入できます。
サピカは、以下の乗り物・エリアで利用可能です。
地下鉄 | 南北線/東西線/東豊線 |
---|---|
バス | ジェイ・アール北海道バス
|
じょうてつ 札幌市内全路線 | |
北海道中央バス
| |
市電 | 全線 |
※夕鉄・ばんけいバスをご利用の方には、サピカチャージの代わりに回数券をお渡しします。
サピカの特長は、使うとポイントが貯まることです。地下鉄・バス・市電を利用することで、サピカご利用金額の3%(1ポイント未満の端数は切り捨て)がSAPICAポイントとして貯まります。
サピカのポイントは、1ポイント=1円です。降車したときに、運賃よりポイントが上回っていると、自動的にポイントで支払われるのでさらにお得感がありますね。
精神障害者保健福祉手帳を持っている方は、地下鉄や路面電車を利用する際に運賃を割引してもらえます。交通費助成を受けているサピカでも、割引で乗車することが可能です。
- 地下鉄:交通費助成(サピカチャージ)を受けているサピカを券売機に挿入し、チャージ残額で福祉料金のきっぷを購入してください。
- 路面電車:降車時に手帳をご提示の上、交通費助成(サピカチャージ)を受けているサピカで福祉料金をお支払いください。
サピカの注意点
サピカは20,000円までしかチャージできないので、いっきに52,000円をチャージしておくことはできません。なお、1,000円単位でチャージすることが可能です。
また、助成サピカは、タクシーの乗車料金やコンビニなどでの買い物の支払いに使うことはできませんのでご注意ください。
そして、助成された記名サピカを利用できるのは本人のみなので、ご家族の方や介護人が利用することはできません。
精神3級の方が受けられるその他の交通費助成
記名サピカへのチャージの他に、3級の方が受けられる交通費助成は以下の通りです。
・福祉タクシー利用券(タクシー券)
タクシーの利用料金を助成する券(1枚500円)を交付します。
年間最大助成額:13,000円
・福祉自動車燃料助成券(燃料券)
自動車の燃料(ガソリン・軽油)を助成する券(1枚1,000円)を交付します。
年間最大助成額:10,000円
【1級・2級】交通費助成
精神障害者保健福祉手帳1級・2級の場合は、市内の公共交通機関が無料で乗車できて、タクシー利用券やガソリン代助成券の助成金額も3級より高いです。
・バス、地下鉄、市電が無料になる乗車証が交付される
→市内の地下鉄・市電・JRバス・じょうてつバス・中央バス・夕鉄バス・ばんけいバスを無制限で利用できます。
・タクシー利用券を年間で最大39,000円(500円券78枚)が交付される
・ガソリン代の助成券が年間で最大30,000円(1,000円券30枚)が交付される
参考:https://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/guide/documents/11-koutukankei.pdf
交通費助成の申し込み方
交通費助成を受けるには、各区役所の保健福祉課給付事務係の窓口があるので、そちらで手続きをしましょう。
わからないときは、区役所の案内係の方に聞いても大丈夫です。
- 精神障害者保健福祉手帳
- 現在お使いの福祉乗車証(すでに福祉乗車証をご利用の方の場合です)
- 車検証(燃料券を申請する方の場合です。写し可。原則として本人または親族名義の車に限ります)
- 記名サピカまたは福祉割引サピカ(サピカへのチャージを希望する方の場合です。すでにチャージの助成を受けられている方は登録したサピカをお持ちください)
- 代理で申請する場合は、代理の方のお名前の確認できるもの(マイナンバーカードなど)
参考:札幌市公式HP https://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/kotsuhi/
筆者も実際にサピカチャージを申し込んでいます。
交通費助成制度を受けるには、専用の窓口があります。
わからないときは係の方に聞いて、案内してもらいましょう。
窓口の方に精神障害者保健福祉手帳と記名サピカを提示し、交通費助成の手続きをしてください。
チャージ希望金額を聞かれます(20,000円までチャージ可能)。
職員の方が記名サピカにチャージします。
職員の方から有効期限や利用方法の注意点などの説明があります。
手帳にチャージ金額や残りのチャージ可能金額、有効期限が記載されます。また、チャージ情報が記入された用紙も渡されます。
チャージされた記名サピカは、利用可能の乗り物で利用できます!
通所に役立つ交通費助成もある
精神障害者保健福祉手帳の3級を持っている場合、福祉サービス施設に通所する際の交通費を助成してもらえる制度もあります。
助成対象は以下の通りです。
対象通所施設 | 対象交通機関 |
---|---|
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運賃割引が適用されない交通機関を利用している場合は、助成率が上がります。
運賃割引が適用される交通機関を利用の場合:助成率25%
運賃割引が適用されない交通機関を利用の場合:助成率50%
助成率50%の対象者は、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの場合で、ばんけいバス以外のバスやJRを利用している方が当てはまります。
例)1日の往復賃金が400円で、1か月に20日間通所した場合、助成率50%だと… | |
---|---|
400×20=8,000 | 400×50%×20=4,000 →1か月に4,000円助成してもらえる! |
通所日数に制限はありません。助成を希望したい方は、事業所の支援員の方に相談しましょう。
参考:札幌市 https://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/guide/ido-shien01.html#bus.shieikoutu
交通費助成以外の割引・免除サービス
精神障害者保健福祉手帳を持っていることで、交通費以外にも割引・免除してもらえるサービスは存在します。いくつか紹介しますので参考にしてください。
自立支援医療制度
精神障害の治療にかかる医療費の自己負担額が1割に軽減される制度です。
自立支援医療制度は、以下の書類を持参して区役所の保健福祉課の窓口で申し込みましょう。
- 自立支援医療費(精神通院医療)支給認定申請書
- 自立支援医療(精神通院医療)診断書
- 「世帯」の健康保険証(コピーでも可)
- 市町村民税課税額がわかる書類
- マイナンバーの番号
- 身分証明証
書類に、精神疾患で通院している医療機関や薬を受け取っている薬局の住所も記入できるように準備をしておいてください。
申し込んだ書類は精神保健福祉センターへ送付されて審査されます。審査が通れば自立支援医療受給者証が手元に届きます。有効期限は1年ですので、期限が切れる3か月前から更新手続きをしてください。
有効期限を合わせれば精神障害者保健福祉手帳と同時に申し込むことも可能です。
参考:メンタルクリニック札幌大通 https://mental-sapporo.com/
札幌市の一部の施設の利用料金が免除
札幌市内では、精神障害者保健福祉手帳を持っていることで無料・割引で利用できる施設もあるようです。その一部を紹介致します。
- 映画館
札幌シネマフロンティア:1,000円割引
ユナイテッド・シネマ札幌:1,000円割引
シアターキノ:800円割引 - カラオケ
ビッグエコー:室料50%オフ
ラウンドワン:クラブ会員料金適用 - 白い恋人パーク:100円引き
- さっぽろテレビ塔展望台:半額(500円)
- サンピアザ水族館:500円引き
- 北海きたえーる:無料
参考:障害者手帳で行こう!~全国版~
NHK放送受信料の免除
精神障害者保健福祉手帳を持つ人がいる世帯は、NHK受信料が全額免除されます。ただし、世帯全員が市町村民税非課税の場合に限ります。
世帯主が1級の場合は、上記の条件を満たしていなくても半額免除されます。
参考:NHK受信料の窓口 https://www.nhk-cs.jp/jushinryo/exemption_list.html
税金の控除
精神障害者保健福祉手帳を持っていることで、支払う税金が安くなります。本人だけではなく、扶養している家族に障害を持っている方がいる場合でも対象になります。
障害者控除を受けたい場合は、必ず年末調整や確定申告で申請し、払い過ぎた税金を還付してもらいましょう。最大5年までさかのぼって申請できるようです。
控除金額(所得税) | 控除金額(住民税) | |
---|---|---|
障害者 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
※特別障害者とは、精神障害者保健福祉手帳1級の方
※同居特別障害者とは、生計をともにしている配偶者や子どもなどの扶養家族が「特別障害者」である場合
所得税:27万円×10%(税率)=27,000円
住民税:26万円×10%(税率)=26,000円
→合わせておよそ5万安くなる(還付してもらえる)
※所得税の税率は、課税所得金額によって変わります。
特別障害者の場合はさらに安くなります。
具体的に計算してみたい方は、こちらのシミュレーションツールをご活用ください。
参考:リタリコ仕事ナビ https://snabi.jp/article/199
参考:税金・社会保障教育 https://www.mmea.biz/3249/
参考:障害者グループホームラボ https://shogai-home.com/refund.html
札幌の交通費助成のまとめ
障害者保健福祉手帳を持っていれば、3級でも割引や助成制度を受けることができます。
とくに交通費助成制度につきましては、通院や通所にかかる交通費の負担を抑えることができます。
他にも手帳を持っていることで利用料金が割引・免除される施設もあるとわかったので、より安心した気持ちで外出を楽しむことができそうです。
福祉サービスは内容が変更されることがあるので、注意をしながらご活用ください。