就労系の福祉サービスには、「就労移行支援」と「就労継続支援A型・B型」があります。
ですが、「違いがよくわからない」「どれを使えばいいのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
就労移行支援と就労継続支援のサービス内容にはそれぞれ特徴があるので、自分に合ったサービスを利用したほうが社会生活がより良いものになります。
個人の目的によってどのサービスを利用すれば良いのかを参考にするために、ぜひこの記事を最後まで読んでください。
就労移行支援とは
就労移行支援とは、障害のある方で企業などへの就職を目指している方が支援を受けながら就職活動をすることができる就労系障害福祉サービスです。
通所することで生活リズムが整い、体調管理能力が身に着くほか、ビジネスマナーやコミュニケーション能力、パソコンスキルなどを習得する訓練を受けることができます。
また、履歴書の添削や面接の練習、企業などでの実習を受けることで、就職への準備を整えることができるでしょう。
就職した後も6か月間のアフターフォローがあり、職場での新たな悩みに就労移行支援のスタッフが相談に乗ってくれるので心強いです。
DXアップは在宅訓練もできる就労移行支援です。SNS運用やデザイン、ライティングなどの専門的なWebスキルを身に着けて、就職活動に自信がつきます!
就労継続支援とは
就労継続支援とは、障害のある方で企業などでの一般就労が困難な方が生産活動や就職に役立つ知識を身に着けていくことができる就労系障害福祉サービスです。
就労継続支援にはA型とB型があります。大きな違いは、A型は雇用契約を結び、B型は結びません。そのため、通所日数や作業時間、作業内容はA型のほうがハードだと考えたほうが良いでしょう。
就労継続支援では体調面や障害の適性に配慮を受けながら働く場を提供してもらうことができるので、無理のない生産活動ができる点がメリットです。
就職が困難でもスキルアップやものづくりを通して充実感のある社会生活や居場所づくりを目指すこともできます。
DXアップは、就労移行支援でもめずらしいライティングなどのスキルを身に着けることができます。強みを活かした就職活動をしませんか?
就労移行支援と就労継続支援の違い
就労移行支援と就労継続支援の違いは以下の通りです。
就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | |
---|---|---|---|
対象者 | 障害、難病のある方で一般就労を目指す方 | 一般就労が困難な方 | 一般就労が困難な方 |
対象年齢 | 65歳未満 | 65歳未満 | なし |
利用期間 | 原則2年間 | 定めなし | 定めなし |
雇用契約 | なし | あり | なし |
賃金 | 基本なし | 給与が発生 | 工賃が発生 |
平均賃金(月額) | ‐ | 83,551円 | 17,031円 |
就労移行支援は原則2年間という利用期限の縛りがあります。就労継続支援のように生産活動が目的ではなく、企業に就職することが目的です。
お金がたくさんもらえるのは、就労継続支援A型です。作業をすることで給料が発生し、時給は最低賃金が保障されます。B型の工賃は時給に換算するとおよそ200円ほどなので、お金がたくさんほしい方にとっては厳しい金額ですが、少ない日数でも利用でき、ゆるやかに生産活動ができます。
就労移行支援は基本的に賃金は発生しませんが、工賃がもらえる事業所もあります。
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履歴書に書ける?
就労移行支援や就労継続支援での活動は、履歴書に書くことができます。
事業所で経験したことや習得したスキルを履歴書に書くことで、仕事に活かせる能力や成長意欲をアピールすることができます。
空欄にしてしまうよりも、事業所で就労に向けて何かしらの活動をしていたことを書くほうが印象も良いです。ただしクローズ就労を希望している方は、福祉サービスを利用していたことで障害があることが相手にわかってしまうので、書かないという方もいます。
※クローズ就労とは、障害があることを明かさずに就職活動をすること。
筆者は履歴書に、「福祉サービス利用歴」として就労継続支援B型に通っていたことを記載したことがあります。そのときのアルバイトは受かりました。
就労移行支援がおすすめな人
就労移行支援がおすすめな方は、一般企業などへの就職を目指し、働く意欲のある方です。
とくにおすすめな方は以下の通りです。
- 障害の特性に対する配慮を受けながら就職活動がしたい
- 就職したいけど、体調管理や体力に自信がない
- コミュニケーション能力を身に着けたい
- 履歴書の書き方や面接の練習を受けたい
- プログラミングなど、専門的な知識を身に着けたい
就労移行支援には生活支援員が配属されているので、生活面や体調面をサポートしてくれます。
また、週1から通所できる事業所もあり、体力に自信がなくても無理なく利用できることや、専門的なスキルを身に着けて就職活動を有利にすることもできます。
2年間の利用期限も設定されているので、より真剣に就職活動に取り組むことができるでしょう。
他の福祉サービスを利用するなどで働く能力が高まった場合、もう一度就労移行支援の利用が認められる場合もあるようです。
また、不安な場合は2年が過ぎてしまう前に事業所に相談することをおすすめします。
また、就労系障害福祉サービスの中でも、就職率が高いのは就労移行支援です。就労移行支援を利用した人の就職率は令和4年度で57.2%で、事業所によってはさらに就職率が高い就労移行支援もあります。
令和元年(就職率) | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | |
---|---|---|---|---|
就労移行支援 | 54.7% | 53.4% | 56.3% | 57.2% |
就労継続支援A型 | 25.1% | 21.4% | 22.0% | 26.2% |
就労継続支援B型 | 13.2% | 10.6% | 10.1% | 10.7% |
自分に適した就労移行支援の選び方は、以下のことを参考にしてください。
- 通いやすい場所の事業所かどうか
- 自分に合ったカリキュラムかどうか
- 支援員や事業所の雰囲気が合っているかどうか
- 就職実績はどのようなものか
- 就職先はどのような企業・職場か
DXアップの就労移行支援では、様々な職種の企業と連携し、幅広い仕事に就くことができます!工賃をもらいながらWebスキルを学べます。
就労継続支援A型がおすすめな人
就労継続支援A型がおすすめな方は、障害の配慮を受けながら働いて、収入を得たい方です。
とくにおすすめなのは以下の通りです。
- 一般就労が困難
- 働いていた経験はあるが、現在は働いていない
- 障害の特性に対する配慮を受けながら仕事がしたい
- 安定した給料がほしい
- 1日4時間、週5で作業できる
就労継続支援A型では雇用契約を結び、最低賃金の時給が保障されるので、アルバイトと同じくらいの給料を得ることができます。
また、障害に理解のある支援員が配置されているので、配慮を受けながら働くことができて、身体や心の不調にも対応してくれるので安心です。
作業の内容も様々で、清掃や調理、手芸、データ入力などの事務職、Webデザインやプログラミングを習得できる事業所もあります。実務経験が求められる場合もあります。
1日4時間から8時間の作業や、週5通所がつらくならない方が望ましいです。利用するにはハローワークで紹介状を貰い、面接を受けなければなりません。
自分に適した就労継続支援A型の選び方は、以下のことを参考にしてください。
- 通いやすい事業所かどうか
- どんな仕事内容なのか
- どんなスキルが身につくのか
- 支援員や事業所の雰囲気が合っているかどうか
- 食事提供など、その他のサービスはどのようなものか
就労継続支援A型には看護師が常駐している事業所や、求人票を提示して一般就労を積極的に支援している事業所も見受けられました。
就労継続支援B型がおすすめな人
就労継続支援B型がおすすめな方は、まずは居場所づくり、社会参加を始めたい方です。
とくにおすすめな方は以下の通りです。
- 一般就労が困難
- 身体的、精神的に体調が不安定で長時間働けない
- 金銭的な余裕がある
- 自分のペースで通所したい
- 好きなことを形にしたい
就労継続支援B型は他の福祉サービスと同様、支援員が体調面や障害の特性を配慮してくれるので、無理なく作業に取り組むことができます。
自分のペースで通所できるので、週1での通所や1日1時間からでも利用が可能です。
作業内容はA型と同じく様々で、清掃や手芸、Web制作の他、イラストやeスポーツなど、自分の好きなことに打ち込むことが出来ます。ワードやエクセルなどの実用的な資格取得を目指せる事業所もあります。
賃金は貰えますが時給200円ほどの工賃なので、金銭的に余裕のある方が望ましいです。
自分に適した就労継続支援B型の選び方は、以下のことを参考にしてください。
- 通いやすい範囲の事業所かどうか
- どんな事業内容なのか
- 無理のない日数や時間で通所できるかどうか
- 支援員や事業所の雰囲気は合っているかどうか
- 食事提供など、その他のサービスはどのようなものか
外に出るきっかけづくりや、社会的な交流を持ちたい方、就労継続支援A型の利用がハードに感じる方は就労継続支援B型の利用から始めてみると良いかもしれません。
就労移行と就労継続を利用するために必要なもの
就労移行支援と就労継続支援を利用するために必要なものは、福祉サービス受給者証です。
福祉サービス受給者証は障害者手帳がなくても申し込むことが出来ます。自治体の区役所保健福祉課で手続きをしましょう。
- まずは事業所を見つける
インターネット検索などで就労移行支援、または就労継続支援の事業所を探します。
見学、体験してから利用したい事業所を決めます。
就労継続支援A型の場合は、利用したい事業所の紹介状をハローワークから受け取り、面接が行われます。 - 申請書類を提出
申請書類に記入し、自治体の区役所保健福祉課窓口に提出します。
【申請に必要なもの】
・申請書
・印鑑
・指名、住所がわかるもの
・障害者手帳(持っていない方は、主治医の意見書や通院していることがわかる記録)
※自治体などによって他の書類が必要な場合もあるので、事前に問い合わせることをおすすめします。 - 利用計画案を作成
サービスを利用するために、利用計画案を作成します。
利用計画案にはサービスを利用しながら達成させたい目標などを書きます。 - 認定調査・審査
自治体の職員が生活面や心身の状況などをお伺いし、認定調査を行います。 - 利用計画案を提出
認定調査の後、先ほど作成した利用計画案を区役所保健福祉課に提出します。 - 暫定支給
サービス利用を決定する前に、お試しとしておよそ2か月間の暫定期間が設けられる場合があります。 - サービス利用の決定
支給決定後は、受給者証が発行されます。いよいよ就労移行支援のサービスが利用できます。
参考:リタリコワークス https://works.litalico.jp/column/system/050/
参考:Cocorport https://www.cocorport.co.jp/jobs/column/support_procedure/
参考:札幌市 https://www.city.sapporo.jp/shogaifukushi/jiritsushien/2-3_serviceriyou.html
DXアップの就労移行支援は、障害者手帳がなくても医師からの意見書や定期的な通院がある方なら利用できます。SNS運用やデザイン、ライティングなどの専門的なWebスキルが身に付き、自分に合った働き方を見つけるお手伝いをします。
利用料金
就労移行支援や就労継続支援は福祉サービスなので、利用者は利用料の1割を負担しなければなりませんが、ほとんどの方が無料で利用しています。
ですが、前年の世帯収入によって利用料金が発生する場合もあります。
世帯収入状況 | 負担上限月額 | |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 (収入がおおむね300万円以下の世帯) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯 (収入がおおむね600万円以下の世帯) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
前年に働いていた方や、配偶者が高収入である場合、利用料金がかかる可能性があります。
5000×20=100,000
1割負担なので10,000円が利用料金として発生。
※上の表で一般1の場合は9,300円が利用料金としてかかります。
参考:リタリコワークス https://works.litalico.jp/syuro_shien/price/
参考:ぎふ就労支援センター https://xn--jgrr4tei44x8qbc75m.com/charge/
就労移行と就労継続は併用できる?
就労移行支援と就労継続支援は基本的に併用できません。
ですが、利用者にとって併用することが効果的な支援となり、市町村が認めた場合は可能になることもあります。ただし、同一日に複数の事業所を利用することは出来ないようです。
併用を希望する場合は区役所保健福祉課に相談することをおすすめします。
余談ではありますが、B型の事業所を利用している場合、ほかのB型事業所を併用することは出来るようです。
DXアップの就労移行支援では、様々な職種の企業と連携し、幅広い仕事に就くことができます!工賃をもらいながらWebスキルを学べます。
通所しながらアルバイトをしてもいいの?
就労移行支援や就労継続支援のサービスを受けながらアルバイトすることは原則できません。働くことが困難でないのであれば、福祉サービスを利用する必要がないからです。
アルバイトをしているかどうかは、役所が課税情報を確認するとバレてしまいます。
ですが、厚生労働省の調査によると、一般就労中の方の利用を受け入れている事業所があることがわかりました。
一般就労中の方のサービス利用を受け入れた場面は以下の通りです。
- 入職時の慣らし
- 入職後の課題改善
- 入職後の一時的不調
- 休職者の職場復帰
- 加齢などによる段階的な移行のため
- 季節労働やアルバイト、勤務時間の減少による勤務時間外の利用
参考:厚生労働所 https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000832519.pdf
参考:Kaien https://www.kaien-lab.com/faq/3-faq-employment/part-time-job/
就労移行と就労継続の違いのまとめ
就労移行支援と就労継続支援は、それぞれ特徴があり目的によって適しているサービスが違ってくることがわかりました。
一般就労を目指して就職活動がしたい方は就労移行支援、生産活動やスキル習得をしながらお金がほしい方は就労継続支援が向いています。
どのサービスにも支援員がいて、障害を持った方をサポートしてくれることは共通しています。自分の目的や体調面を考慮して、利用したいサービスを選んでください。
この記事はDXアップの就労移行支援の利用者が執筆しています。DXアップでWEBライターやフリーランスを目指してみませんか?無理のない通所や、在宅での訓練も可能です。